先物取引とは
先物取引とは予め決められた期日(満期日)に、特定の商品を予め決められた金額で売買することを約束する取引です。
現時点では価格や量、期日だけを決めておくので、この時点でお金の動きはありませんが、期日がきた時点で売買をします。
先物取引には大豆やとうもろこし、原油などの商品のイメージが先行しますが、それだけでなく株を対象とした取引もあります。
先物取引の特徴
それでは先物取引にはどのような特徴があるのでしょうか?
差金決済
株取引の場合、株券や代金を受渡しますが、先物取引の場合、買い(売り)を約束した価格と、決済時点の価格との差額のみの受渡し(差金決済)を行うので、現物を仕入れたりするようなことはありません。
取引に期日があります
まず先物取引には、取引の期日があります。
株の場合は企業が倒産しない限り、ずっと株式を保有することができますが、先物取引の場合は決められた期限内での売買、つまり期限が来たら自動的に決済がされます。
取引に証拠金が必要
先物取引はFXのように「証拠金」と呼ばれる保証金を証券会社などに預けます。
そして証拠金よりも大きな金額で取引をすることができ、これを「レバレッジ取引」といいます。
資金よりもが大きな金額で運用できるので、その分得られる利益が大きくなります。
これを「レバレッジ効果」と言います。
ただし、「レバレッジ効果」は損失の場合でも同様に働きますので、資金管理がとても重要です。
先物取引の種類
先物取引には大きく2つの種類に分けられ、「商品先物」と「金融先物」があります。
それぞれを解説していきましょう。
商品先物
商品先物は、商品を対象とした投資で、主に以下が対象になります。
- ガソリンや石油、原油などのエネルギー
- 金、銀、プラチナなどの貴金属
- 米、大豆、とうもろこしなどの農作物
商品先物は総取引代金に対して少額で取引ができるため、レバレッジ効果が高く取引効率が高いとされています。
また、商品先物の価格変動の要因は株式と異なるので、株投資と分散させてリスクヘッジをしたり、インフレ下では物価が上昇しやすい傾向があることから、インフレに対して強いと言われており、特にこのコロナ禍において商品取引は注目度が上昇しています。
ただし天候や病害、政情不安などが変動の要因となり、価格変動が予測しづらいという点には注意が必要です。
金融先物
金融先物には大きく4種類があります。
それぞれを簡単に解説をしていきます。
株価指数先物取引
株価指数(米)に対して行う先物取引で、株価指数の上下による利益を狙います。
「日経225(日経平均株価)先物取引」や「東証株価指数(TOPIX)先物」などが一般的です。
米株式指数とは市場全体の値動きを数値化したものです。
国債先物取引
日本の国債に対する先物取引で、実際の債券ではなく「標準物」と言われる架空の債券を対象とします。その国際価格の上下による利益を狙います。
※決済時には実際に債券による受渡がされます。
国債先物取引には以下の4種類があります。
- 超長期国債先物(20年)
- 長期国債先物(10年)
- 中期国債先物(5年)
- ミニ長期国債先物(10年、長期国債先物の取引単位の10分の1)
通貨先物取引
ドルやユーロなど、取引所に上場している外国通貨に対して行う先物取引で、為替レートの上下による利益を狙います。
取引対象通貨は主軸の通貨ほか、新興国通貨も含まれています。
金利先物取引
金利先物取引は、金利を対象とした先物取引のことで、短期金利を指標としています。
事前に決めた期日に対して、決めた条件で資金を貸し借りして取引を行います。
日本の場合は、ユーロ円3か月金利先物、ユーロ円3か月金利先物オプションなどが取引されていますが、取引できるのは取引所に上場している商品に限定されています。
先物取引のメリット
では先物取引のメリットについて解説していきましょう。
「売り」から始める(空売りする)こともできる
空売りとは「売り」から始める取引のことで、相場が下落すると予想したときは予め「売り」の約束をしておき、取引期限までに安い値段で調達をすることで利益を出す事ができます。
相場の上昇、下落のどちらの局面でも利益を出すチャンスがあるということです。
夜間でも取引ができる
大阪取引所の株価指数の先物取引は、8時45分~15時10分(日中立会)、16時30分~5時30分(夜間立会)と長い時間行われています。
夜間立会を利用すれば、日中忙しい人でもリアルタイムで取引ができます。
少額の資金から取引可能
先物取引では「レバレッジ」をかけて取引をする事ができます。
証拠金と呼ばれる担保を証券会社などに預け入れることで、証拠金の数倍の金額で運用ができるというメリットがあります。
レバレッジを効かせることでハイリターンを狙うことができるのも先物取引の魅力です。
先物取引のデメリット
大きな損失のリスク
レバレッジ取引ができるので、少ない資金で大きな利益が狙えるのは魅力ですが、レバレッジ効果が損失に効いてしまった時のことを想定しておかなければなりません。
元本保証がされていない
現物株投資の場合、仮に投資企業が倒産しても元本以上の損失となることはありませんが、先物取引では、相場が予想と反対の動きとなった場合、総取引量と証拠金の割合が一定を割り込んだ場合には、追加で証拠金を納めなければならない制度があります。
代表的な株価指数先物
日経225先物
日経225先物は、日経平均株価を対象とした先物取引です。
日経平均株価とは東証一部上場企業から、日本経済新聞社が選出した225社(トヨタ、ソニー、イオンなど)の平均株価のことです。
将来の日経平均株価を現在の市場価格で売買をし、その取引単位は1000倍。
日経平均株価が仮に20,000円だとした場合は、最低2000万円からの取引となります。
取引金額が大きすぎる場合は、日経225先物の10分の1で取引ができる「日経225mini取引」というものがあります。
TOPIX先物
TOPIX先物は東証株価指数(TOPIX)を対象にした先物取引で、東証一部に上場している全銘柄を対象とします。
全銘柄を対象にしているので市場全体の値動きを反映しています。時価総額の大きな銘柄の動きの影響を受けやすいという特徴を持っています。
TOPIX先物の取引単位は東証株価指数の1万倍、仮にTOPIXが1,900円だとした場合は1900万円からの取引となります。
TOPIX先物も10分の1サイズのTOPIXmini(ミニ)があります。
東証マザーズ指数先物
東証マザーズ指数先物は、東証マザーズに上場している新興企業全ての銘柄を対象としています。
ベンチャー企業中心のマザーズは成長の可能性を秘めた企業が多く上場し、変化が激しく、日経株価平均やTOPIXとは異なる動きを期待できるというメリットがあります。
※東証は2022年4月4日より、これまでの東証一部、二部、JASDAQ、マザーズを市場再編し、プライム、スタンダード、グローズという区分の見直しを予定しています。